11/ 11th, 2010 | Author: Ken |
”燃える心を”
ソプラノ歌手、多田佳世子さんとご主人で指揮者ダンテ・マッツオーラ氏、テノールの田代恭也氏、京都フィルファーモニー室内合奏団のコンサートに行った。人間の声帯は最高の楽器というが、正しくその事実を眼前で、いや耳前で実感させられた。
洗練につぐ洗練、練られ発酵され熟成された豊穣がきらびやかに輝く。その鍛錬で培った冷徹な音符の根底に、情感という荒々しくもあり繊細な陰翳が漂い炸裂するのだ。ピアニッシモの抑制された繊細な震えからフォルテッシモの力強く大胆で伸びのある昂りへと華麗に煌めく。クライマックスの美の絶叫、それがエーテルのようにホールに充満し、客席からは声にならない驚愕と賛嘆の波動の震えが巻き起こる。プロフェッショナルの歌声とはこのようなものか!ただ呆然!音楽の一撃に酔い堪能した。
…..ぼくはオペラや歌曲には疎いのだが、美しいものは美しく、圧倒させる心地よい迫力のコンサートだった。多田さんとは30年来の知り合いだが生の歌声を聞くのは20年ぶりだ。今回は「写真をお願いカッコよく撮ってね!」OK! OK!というわけで友人のプロカメラマンT氏と出かけた。今夜はぼくはアシスタントだからね!と重い機材を担いでホールのあちこちから覗き間近から聞いた訳だ。二人の以心伝心の掛け合い….そりゃ夫婦だもの、息がぴったり合ってあたりまえだね。
彼女は1991年ヴェルディ国際音楽コンクールで第三位を獲得、それ以来ほとんどをミラノで過ごしている。ご主人のダンテはオペラの殿堂ミラノスカラ座におけるチェンバリスとしての名声、そして指揮者としてはマエストロ リッカルド・ムーティの右腕として世界的に活躍、現在は指揮法、ピアノ、オペラ、歌曲のための教鞭を執っている。ダンテは日本が大好きで居酒屋なんかに行くとそれはもう!おいおい、ビールや焼酎、南蛮漬けなんか食べないでモッツァレラにワインでも飲れよ。「ぼくはこっちの方がイイ!」Io fui sorpresoだね。