11/ 22nd, 2009 | Author: Ken |
「どう思うね」、ワトソン君。
架空の人物でありながら、これほど実在感のある人物がいるだろうか。そう、シャーロック・ホームズだ。子供の頃から何度読み直しただろう。シャーロキアンはこれら60編をカノン(聖典)と呼ぶ。霧のロンドン、ガス灯に浮かぶシルエット。ディアーストーカー(鹿狩帽)にインバネスコート(日本では衿にラッコの毛皮をつけて和服のコートとして、そうトンビだ)。これは挿絵画家シドニー・パジェットが作った。いつのまにかホームズといえばこのスタイル、ホームズ俳優としてはジェレミー・ブレット(彼はマイフェアレディでにやけた兄ちゃんを演っていた)が最高だね。イメージぴったし。ホームズは1854年1月6日生まれ、大英帝国華やかなりし頃、ヴィクトリア時代の犯罪捜査の天才にして複雑な内面を持ち倦怠と行動の矛盾だらけの人物。麻薬に浸り、ストラディヴァリで内観するメランコリア、法律を無視し、イデアリストで、バリツ(日本武術)を使い…。こういう人ってHFA/ASP「高機能型アスペルガー症候群」の天才じゃないの?だれか大脳生理学者か心理学者の先生、分析してみて。
上記の絵は我が友、成田一徹氏の作品だ。彼とバーのカウンターでホームズについて語るとき、「世の中に闇がなくなったね。いかがわしい匂いと生臭い人間と、陰翳というか闇の部分がサ」「TVもイラストもお子様ランチみたいだ。作った明るさだ。ユルキャラとか媚びの氾濫だね」。近代工業化社会という資本家と搾取…120年前のロンドン超格差社会、ホームズが通った大英図書館の隣の席にカール・マルクスがいた?現代日本の不況感と格差感…。「いやいや心の闇はハイテク化するほど深くなるんじゃない?」「でもケータイ依存症というのは、孤独で寂しいというメッセージを共有していたい、友達ゴッコじゃない?明るく装いたいんだよ」…ブログで発信するのも「僕はここにいるヨッ!」って孤独者の必至の叫びかも知れないね。ウーム、もう一杯飲も!