5/ 29th, 2012 | Author: Ken |
あの薄幸の美女は何処へいったのか…。
もう二昔も前になるだろう。一夜にして(そう思うくらい)世の中が激変したのだ。デザイナーの三種の神器である三角定規、ケント紙、製図器具がぶっ飛んでしまったのだ!マッキトッシュの出現だ。それまでワープロ(懐かしいネ)やラップトップのパソコンは少しはさわっていたのだが(ロータス1,2,3なんてね)。デザインが出来る?……デモストレーションを見にいっても、とてもこんな高額なものは手が出ない、しかしこれからは…。やっとパフォーマをローンで手に入れた。今から思えばチャチなものですぐに壊れたものだ。インターネットもあったけれど蝸牛の歩みみたいなものだった。僕はイラストレーター3.0とフォトショップ、少し画像が重いともう動かない。おまけにフロッピーは1Mだったしね。
でも画期的でしたよ。だってそれまでの写植(写真植字、文字の基盤から書体やポイントを決めて焼き付け、それをペーパーセメントで原稿に貼る)や写真のアタリ(原稿にコピーや手書きの線でトリミングを指定、トレスコープ(紙焼きの大きな機械)やインレタ(インスタント・レタリング、裏に蠟を塗ったシートで文字をガラス棒でこすって原稿に転写する)。そうそうトレーシングペーパーや透明フィルムを重ねてその上に写植や写真を貼っていた。レイヤーそのものじゃないか!そんなものががいらなくなったのだ。
そうだ!AdobeのIllustratorを開くと、あの麗しくも繊細な美女が現れるのだ。ヴォテッチェルリの「ヴィーナスの誕生」だ。ルネサンス期に「麗しのシモネッタと謳われた絶世の美女シモネッタ・ヴェスプッチなのだ。しかし美人薄命の名の通り1476年23歳でこの世を去った。ロレンツォ・メディチは語る。「フィレンツェ市民は驚に包まれていた。彼女の死顔の美しさは、生前のそれを超越していたからだ。彼女を前にすれば、死もまた美しい….」と。
….そして、クアドラ、パワーMacになり9500、G3、G4、G5。OSもXから豹、虎、雪豹、獅子、山獅子と変わって来た。Illustratorも5.5で完成していたし、8は本当に使いよかった(7と9は不出来)。またPhotoshopも6で完成していたのではないか?それより10になりCSのAi、Psとなり、やたらとアプリケーションが重くなり(Aiの8なんて保存が一瞬でしたね)、いらないツールが多すぎるし(Psでは初期からあるスタンプツールやレイヤー、色調補正はいまでも素晴らしい)どうも使い辛い。
ああ、麗しのシモネッタよ!あの薄命の美女もCSとともに消えていった…。