7/ 26th, 2010 | Author: Ken |
うつろ船ふたたび。
最初にお断りしておくのだが、私は神秘主義、疑似科学、占い、予言、霊、血液型、UFO云々は全く信用しないし迷信であり唾棄すべきものと考えている。ただし、映画や酒の上のお遊びとしての話題なら大歓迎だ。その中でも子どもの頃に読んだ「空飛ぶ円盤」の面白さは抜群だった。宇宙人だ、いや新兵器だ、いやタイムマシンだと小松崎茂の空想科学イラストには感激したものだ。そして何かの本で「うつろ船」の伝説やその円盤形の乗り物について知った。不思議だ、江戸末期にこんな形を誰が想像できただろう。人間とは必ず先例にプロトタイプを求めそれから発展さすのが思考のプロセスだ。飛行機は鳥に習い潜水艦は鯨だ。長い進化の果ての姿は合理的で美しい。
じゃ「うつろ船」の空飛ぶ円盤はどこから…?これは世界で初めて描かれたの円盤形乗りものだ。ヨーロッパにもどこにもこんな形は見た事がない。余談だがフリスビーは40年代後半にイェール大学の学生がパイ皿を投げ合って遊んだのが発祥というが、そんなもの日本では古くから「かわらけ投げ」が多くの寺や名所遊山に伝わるのだ。誰もパテントを取る事を考えなかった。少し悔しい。
「うつろ船」の形は何から想像したのだろう。まあ、一寸法師のお椀の船もあることだし蓋付きお椀として、その頃には黒船が日本近海に出没していたから、窓にはビードロを嵌め南蛮鉄にチャン(タール)を塗る。そして蛮女なのだが、異国人を意識したのだろう。
ところが異人を見た事がないので何だか中国風になってしまった。文献では「鶯宿雑記」「常陸国うつろ船流れし事」駒井乗邨,1815年頃?「兎園小説」「うつろ舟の蛮女」曲亭馬琴1825年、「弘賢随筆」八代弘賢1825年、「梅の塵」「空船の事」長橋亦次郎1844年、「漂流紀集」「小笠原越中守知行所着舟」1835年以降?とあるが、これは面白いと噂が噂を呼び広がったのだろう。どうも馬琴のSFだとの説が強いが…。
ここまではいいんだ。私としてはこんなことで終わらしたくない。徹底的に解明したいところだが何しろ過去のことだ。
早速、空想時航機を駆って飛んでみた。過去を変化させては現在が狂うので、時空間の隙間から覗き見た。怪しい燐光を発しながら稲妻とともに現れた。電離した空気、微かなイオンの匂い。どうです美人で魅力的でしょう。ファッションがちょっと古い気もするが…。そして不思議な宇宙文字。新しく解明したところでは、どうもワームホールを通って来るワープ図らしい。
そういえば、パイオニアの銘版やボイジャーにはディスクを積んでいた。地球人の男女の姿、水素原子超微細遷移の概念図や太陽系、パルサーの位置なんか…..。楽しいでしょう。