3/ 6th, 2010 | Author: Ken |
おお! 降るような星空だ。
そのころ2001年は遠い未来だった。あと30年以上も…。1968年、大阪・OS劇場の湾曲した巨大スクリーンに呑み込まれていた。この映画のために作曲したかとも思えるリヒャルト・シュトラウスの「ツアラトゥストラはかく語りき」。それだけで魅入ってしまった。宇宙船がダンスを踊るように優雅な「美しき青きドナウ」、神秘に誘うハチャトリアン、リゲティの音楽。それまでのSFを稜駕するどころか陳腐化してしまった。ピカピカのV2号のような宇宙船、電子音、電球が点滅するコンピュータや計器類。そんなものが消し飛んでしまったのだ。まさに頭脳に一撃だった。アーサー・C・クラークとキューブリックの眼も眩む斬新さに酔った。これぞハードSFだ。そのために科学考証に耐えうるか、間違いかの論争がいまだに絶えないが、それは出来が良過ぎるからに過ぎない。確かにソ連は崩壊していないし、PANNAMも消えた。モニターはブラウン管だし、TV電話はあるが携帯電話もパソコンも出てこない。しかしこの映画のために作ったフォントは今だって現役だ。まだCGもない持代だからワイヤーフレームも手描きだそうだ。ストーリーはシンプル、アゥストラピテクスからホモサピエンス、そして超人類へと….。クラーク永遠のテーマだ。ただ、あのバロック調の部屋のシーンは少し頂けないと思った。あれが無きゃ完璧なのに…。キューブリックの趣味なのだろう、後に17世紀を舞台にしたバリー・リンドンを作ったことだし…。とにかく今でも色あせないSF映画の金字塔だ。今まで何回見たのだろうか? …いつのまにか2010年になってしまってはいるが。