10/ 17th, 2012 | Author: Ken |
さようなら一徹さん。
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昨日、成田一徹さんのご葬儀が行われました。
あまりにもはやすぎる別れ、ご本人の胸中を察すると無念でなりません。
これからが円熟の技の年齢であっただけに惜しまれてなりません。
「この世のから闇が消えていくのが惜しい、かって都会には如何わしさを漂わした闇があった。
南京町裏通りの外人バー、時代を超えて来た人々の影の部分、そんな所を切り絵にしたいんですよ」。
「神戸は大震災で人肌の暖かみや歴史を刻んだ沈黙の声があらかた消えてしまった。その幽かな
残り香りを絵にしたいんですよ。人の営みと優しさと、それらを包んできた建物や名残をね」。
…彼のこんな話をよく聞いたものだ。彼は詩が大好きだった。妹さんが語ってくれた。
「兄は子どもの頃から詩が大好きで家では大きな声で朗読していました。だからわたしもいつのまにか
覚えてしまいました」と…..。人を街をバーを場末の居酒屋を、そして微かな残り香りを愛した成田一徹。
さようなら。君のことは決して忘れないよ。
吉本研作
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