3/ 19th, 2012 | Author: Ken |
アッ!電送人間だ!…B級だからってバカにするな!
B級といえばB級グルメの真っ盛りである。日本のブログの大半はこれで占めているのではないか….そんな気がする今日この頃である。
まあ、食べることならたいして罪が無いからいいのだけれど、食べログなんてステマ(ステルスマーケッティング、つまりヤラセが多いと報じられた。まあ行政も原発電力会社もやっていることだし….)。かってはレコードにもA面とB面があり、世間でBクラスといえば小馬鹿にした響きが感じられる。映画だってそうだ。文芸大作だの、芸術作品だの、構想十年、数百億ををかけただの….。
ところがB級は低予算、速撮り、大物スター出演なし。しかしアイディアと奇想天外さが売物だから、こりゃ面白い!に徹する訳だ。一種の爽快感ともいえるナンセンスとアホらしさが嬉しいのだ。キッチュの味とも言える。要はエンターテインメントなんだよ、活動写真なんだ。目くじら立てなさんな。…これだね。でも放浪癖の香具師のオッサンの話だの釣りキチサラリーマン物語。ああ、止めてヤメて!見ているこちらが恥ずかしい。釣りの話しならR・ハドソンの「男性の好きなスポーツ」スラップスティック・コメディ、ピンク・コメディとも言いましたね。
ドリス・デイの大ファンでした。「夜を楽しく」とか「恋人よ帰れ」これはマジソン・アベニューの広告屋のお話し。何と笑うハイエナ、R・ウィドマークも「愛のトンネル」でドリス・デイと。… 悩みなきパックス・アメリカーナの時代ですね。おおオールディズ&グッディーズの日々よ。プレスリーも青春ものに粋なアンちゃんでね。最近はスプラッターだの、CGだの、血飛沫と悲鳴と醜悪さとヌルヌル、ぐちゃぐちゃ、生理的不快感にこれでもか、これでもか…と。もう食傷してかえって詰まらないんですね。そう、品性を忘れたところに映画の末期的形相が見えてしまうのだ。
…あの期待に胸弾ませながら暗闇に座った密かな楽しみ。まだポップコーンもコカコーラも珍しく、トイレの匂いがかすかに漂う場末の映画館。二本立て三本立ては当たり前、四本立てを見た事がある。….時間がゆっくり流れていたのですね。当時は二本立てが常識だったから、A面は文芸大作でB面はおまけみたいなものだから喜劇や肩の凝らないイージーなものが多かった。森繁の「社長シリーズ」なんかね。いまでもカンズメ会社の宴会のCMソングを歌えるのだ。カーン、カーン、カンズメカーン、クジラだー…..松林宗恵監督に乾杯。
「獣人雪男」子どもだったけれどポスターを見て血が騒ぎましたよ。「電送人間」当時はファックスさえ無かったし、まさにインターネットの先取り?洋画「蠅男の恐怖」の影響でしょうね。「ガス人間第一号」これが好きなんだ。八千草薫さんの美しいことといったら!色白で清楚でつぶらな瞳に小さくぷっくりした下唇。ガス人間でなくても崇拝しますよ。落ちぶれかけた踊りの名取りなんだが、新作発表の題名は「情鬼」なんですよ。夜叉能面の下に綺麗ったらありゃしない八千草さんだ。爺やの左卜全がまたいい。そして最後が哀しいですよね。「美女と液体人間」「マタンゴ」、松竹では「ゴケミドロ」なんてのも、何とシャンソン歌手の高英夫も出演。東宝映画では水野久美さんの眩しい肢体、白川由美さんのクラブ歌手、土屋嘉男、中丸忠雄、平田明彦たちが常連….、本多猪四郎監督に敬礼!
…そしてダ、これは極悪B級、いやZ級、極悪、邪道、隠れた傑作?あの新東宝・大蔵映画のキッチュの極めつけ「地獄」(1960)ですよ。ダンテ・アリギエーリも真っ青(恐らく下書に)、おどろおどろしくも死装束に額に三角形の紙冠をつけを亡者の大群が地獄を行進するシーンなんざ、絶句!何と閻魔大王がアラカンなんですゼ。大霊界の丹波哲郎が出ていないのは残念、でも彼は今頃あの世で?….そういえば題名は忘れたがロビン・ウィリアムスの地獄に行くのもありましたナ、こりゃ結構いけますよ。
洋画でも嬉しくなるのが「大アマゾンの半魚人」とか、凄いのは題名が思い出せないのだが宇宙から巨大蜘蛛が襲ってくる、それがフォルクスワーゲンに毛皮を被せて巨大な脚をつけてゆらゆら走らすの。トリックがまる分かりで大爆笑でしたね。どなたか題名を教えてください。「バタリアン」とか世界で一番下品な人間「ピンク・フラミンゴ」ゲーッ!とか…。。「エルム街の悪夢」この頃はまだ真面目に見ていたのです。そうそう「トレマーズ」、巨大な芋虫が地中を猛スピードで突進する。あのケビン・ベーコンさん、やはり出ていましたね。大ファンですよ。「振動をあたえるなッ!」なんてね。これをコントロールしたら「黒部の太陽」でも、ヒマラヤ山脈をぶち抜くなんざ….土建屋が喜ぶぜ。「ベルリン忠臣蔵」サムライ大好きのドイツ人がいじらしい。「悪魔の毒々モンスター」日本人の父に会いにNYからウィンドサーフィンで日本に渡るやら、丸の内のビジネスマンの丁髷やら、鼻が鯛焼きになるやら…。
「カタコンベ」落ちのあまりの陳腐さに絶句。「死霊の盆踊り」あまりのアホらしさの都市伝説と噂に恐ろしくて未だ見ていない。「マチェーテ」無茶苦茶なんだが大物俳優出演、R・デニーロ、S・セガールが出ていた。「SAW」は汚いけれどなかなかの出来。「CUBE」アイディアに感心、脱帽!たぶんルービックキューブで遊んでいて思いついたのだろう。大好きな「マスク」「ジュマンジ」これはアイディアが素晴らしい…A級か。そして「マイケル・ムーア監督のTVシリーズ、「恐るべき真実」正直唸りましたね。マクドナルド食い過ぎの監督が突撃、警官に撃たれないために派手なオレンジの財布を配ったり、裏切り者ミッキーマウスを蹴落としたり。
…..おまえはこんなナンセンス物しか見ていないのか!とお叱を受けそうなので自己弁護を。…..ン、確かに否定はしないがぼくはATG(アートシアターギルド)の初会会員だったんだゾ。あの小難しい映画を分かった振りして通っていたんだゾ。エイゼンシュテインもタルコフスキーもベルイマンもフェリーニも小津 安二郎も溝口 健二もみんなみんな素敵だった…..。
そう、A級もB級もC級もZ級までも含めて映画が青春だった。