3/ 11th, 2010 | Author: Ken |
アルペジョーネ・ソナタ
この切なさや何ならむ…。シューベルトを聞くと何やら胸が痛む。暗く哀しく美しく、見果てぬ夢というか、憧れというか、切ないのである。通俗的にロマン派と言切っては軽いのだ。1848年、31歳で夭折した天才の晩年に作曲されたアルペジョーネ・ソナタは弦楽四重奏曲「死と乙女」同じ頃の作品である。抑鬱症だろうか楽曲は暗澹たる表情に満ちているが、第二主題の明朗で軽やかな旋律と対照的に歌われ、叙情的でひたすら美しい哀しみなのだ。
アルペジョーネとはチェロを小ぶりにしたような楽器と聞くが写真でしか見た事がない。この曲をフルートで演奏することも多いのだ。
ぼくもフルートで次はこの曲をやります。と先生に相談してひたすら練習したのだが、練習途中に阪神大震災が起った。練習どころじゃなかったし、何故かフルートへの愛着が薄れてきた。それでも発表会に出たり仲間とのレッスンにも参加していたのだが、新しい事務所を作ったりしているうちに止めてしまった。いまでも時々は吹いてみるのだが10年のブランクは大きい。…見果てぬ夢である。
アルペジョーネとピアノのためのソナタイ・短調(a-moll)D.821 オーレル・ニコレ(フルート) 小林道男(ピアノ)