1/ 23rd, 2010 | Author: Ken |
インタープレイ
ジャズを聞かなくなって久しい。78年頃まではまだレコードを買ったり、ライブにも出かけた。いつのまにかジャズにクリエイティブが消え失せ懐メロに聞こえ始めた。プレイヤーが歳を取り時代の音では無くなったのだ。あの前衛性が消えたのだ。エネルギーを失った音楽は聞けない。ジャズから創造性が失われれば、それは通俗になるのだ。現在のジャズシーンは知らないが、時々友人がジャズバーなんかに誘ってくれる。お決まりの鼻声で「A列車で行こう」だ。またスパーマーケットのBGMでマイルスが流されている…。
そのなかでも古びない緊張感を聞かせてくれるのがビル・エヴァンスだ。音の一つひとつが美しい。リリカル、知的、スリリング、クリアな色彩、抑制、それでいてダイナミック。そして何よりも美意識。ビル・エヴァンス独特のスリルが漲る世界、その間に見える叙情性がたまらなく好きだ。初期のスコット・ラファロ(b)とのイマジネイティヴなトリオの絡み合い絶妙さ、チャック・イスラエル(b)とのインタープレイ。お互いの刺激がより高い音楽性に高まるのだ。モントゥルーの凄みあるライブ、ラストコンサートの鬼気迫る演奏、死を意識していたのだろうか。
来日時はエディ・ゴメス(b)、マーティ・モレル(b)だった。内奥的なリリシズムに酔った。