8/ 9th, 2012 | Author: Ken |
カモメとヨットと真夏の夜のジャズ。
あの日も頗る暑かった。1975年夏、ロードアイランド州の港町ニューポートだ。あの伝説のジャズ・フェスティバル、その地に立ったのだ。写真家バート・スターンが1958年のジャズ・フェスティバルをドキュメントした「真夏の夜のジャズ」(1960)が忘れられなかった。ジャズと聞くだけで血が騒ぐませたガキで映画に魅入られたのだ。いつか行ってみたい!聞いてみたい!….やっと行けたときはもうフェスティバルは無くなっていた。でも町を歩き回り映画のシーンを思い出していましたね。余談だがあんまり暑いのでジュースでも買おうと小さなドラッグストアに立ち寄った。ところが表のウィンドウに真珠湾空襲の写真がいっぱい飾ってあるのだ。…ヤバイ…ジャップめ!と怒鳴るんじゃないか?親父はニコニコ顔で好人物だ。…表の写真は何?ああ、俺はあの時パールハーバーで闘った。日本人は実に勇敢だった。この前も12月7日の記念日に日本人パイロットを交えて記念パーティがあった。楽しかった。…
閑話休題、冒頭、波が揺れ動く背景にジミー・ジェフリーとボブ・ブルックメイヤーの「汽車と河」が流れる。カーキのスーツが何ともカッコいいんだ!セロニアス・モンク、波、太陽、ヨットレース…映像が素晴らしい。そして、そしてあのオキャンでコケットリーなアニタ・オデイ。「わたしはシンガーではなく、ソング・スタイリストなの」という名言を残した彼女、やっとライブで会えたのが確か87年ロイヤルホースだったか? ハンク・ジョーンズ(p)、フランク.ウェス(fl)、彼女は片手にウィスキーで、アル中気味だけど、そりゃ素敵でしたよ。
そしてジェリー・マリガンだ。深紅のブレザーにバリトンサックス、もう!カッコいいったらない!….彼のライブでは前半はミッドナイトブルーのスーツ、後半はシアサッカーのジャケット、それで「ナイトライツ」や「カーニヴァルの夜明け」なんか演奏するんだ、もうカッコいい!…いつだったかな?確か神戸の国際会館だった。
そしてネイサン・ガーシュマンがチェロを弾いている。部屋は暗くタバコの煙、汗が流れる。曲はバッハの無伴奏チェロソナタ第一番G長調だ。そして映画は夜になりチコ・ハミルトンの「ブルー・サンズ」、マレットがドコドコドコドンドコドコドン〜〜エリック・ドルフィーのフルートが流れるのだ。神秘的で異国情緒あふれるサウンドだ。観客がうっとりと浸りそっと肩を寄せる…60年代の中頃だったか?そのチコが来日した。
場所は神戸の朝日劇場、開演は深夜12時、ギターの異邦人ガボール・ザボ等、夜明けまで演奏に酔いしれたのだ。もう半世紀近い時が過ぎたのですね。夏になれば暑さと共に熱いサウンドが追憶となって心の奥底から蘇るのだ。