6/ 19th, 2010 | Author: Ken |
ヒッチ賛。
サスペンス神様、スリラーの巨匠、プロットの天才、映像の魔術師、スリラーの帝王、おとぼけとマクガフィン…。
いくら賞賛の言葉を羅列しても映画を見りゃ納得する。大統領の顔の上を逃げ回り、鳥の群が襲い、裏窓から覗き見をし、列車から貴婦人が消え、高所恐怖症にさいなまれ、間違えられて危機一髪!…。ハラハラ、ドキドキ、イライラ、ゾクゾク、ワクワクなど、心理的オノマトペアが盛りだくさん。
そう、サスペンスとはズボン吊りのサスペンダーと語源は同じ。宙ぶらりんの状態に置くと言う事。ヒッチコック先生、あんたはエンターテインメントの王様だ!イギリス時代の古い作品は別として何回繰り返して見ただろう。「独断と偏見」という思い上がった厭な常套句を使わせていただくとして、そこで私なりの順位をつけてみる。
1.「サイコ」1960:ロバート・ブロック原作、結末は喋るな!と箝口令。シャワーシーンのゾクゾク感、たまりませんね。
2.「北北西に進路をとれ」1959:完成度は一番。タイトルはあのソール・バス。突如飛行機に襲われ、これは007の「ロシヤから愛を
こめて」が頂いていた。そしてラシュモア山の大統領の顔の上で…。恐いですねー。カッコいいですねー。お洒落ですねー。
3.「鳥」1963:T・ヘドレンの背景のジャングルジムに烏が一匹、また一匹…。おい気がつけよ!カメラがパンすると真っ黒に。
4.「裏窓」1954:動けない。カメラの視点で裏窓を覗いていると。….アイディアの勝利。
5.「見知らぬ乗客」1957:あのライターが排水溝に落ちて拾おうとするシーン、イライラ、ゾクゾク、ヒッチの笑い顔が眼に浮かぶ…。
6.「めまい」1958:話は上手すぎるけれど、当時は精神分析が大流行だった。カウチに寝そべって催眠術なんか..。あの頃ヴァンス・パ
ッカードの「隠れた説得者」やスキンナーのネズミの実験、マズローの欲望の段階なんかの心理学が人気の時代でしたね。
7.「逃走迷路」1942:自由の女神のトーチでのアクション、高所恐怖症には刺激が強すぎる。「北北西に進路を取れ」の原点ですね。
8.「ロープ」1948:知的サスペンスそのもの。まるで舞台劇を見るような…。
9.「海外特派員」1940:あの、こうもり傘が群がるシーンだけでも必見。
10.「バルカン超特急」:これはジョディ・フォスターの「フライトプラン」がそのままパクっていましたね。
いや、「泥棒成金」も「白い恐怖」も「引き裂かれたカーテン」も「ダイヤルMを廻せ」も「レベッカ」も「救命艇」も、みんなみん
な…。品性があってユーモアとおとぼけ、シルバースクリーン(銀幕と言ったほうが)の中だけに存在する美女、映像の美しさ、カメ
ラワークの見事さ、そして光と影の絶妙さ!すっとぼけたヒッチのメタボのシルエットが何とも素敵だが、テリブル・シンドロームは
もっと素晴らしい。アルフレッド・ヒッチコック先生に乾杯!「ヒッチコック・マガジン」「ヒッチコック劇場」…ぼくの青春だった。