4/ 26th, 2010 | Author: Ken |
メランコリーの妙薬
人間は「自分で自分を騙す」。楽観という夢を見たり、一瞬にして悲観に落ち入る事もある。どうもヒトの脳の前頭前皮質は、複雑な認知行動、成果予測、目標、行動に基づく期待、社会的行動のコントロール、そして人格の発現に関わっているらしい。
だから「楽観と悲観」は未来を洞察するから生まれる。…不安の概念、死に至る病、考えてしまうんだね。
また歳を重ねると残された時間や自分の無能力感、不条理な人生を思うとき鬱になるのかもしれない。
鬱の時代である。これからの生き方と日本はどうなってしまうのでしょう?という会話をよく耳にする。日本には何でもある。ないのは希望だけだ!と。格差社会、高齢化、不況、失業、高自殺者率…。なんともやりきれない鬱陶しい気分と自信喪失。
バブル崩壊から20年、明日が見えない日が続く。神戸では大震災もあった。高齢化により日本の凋落が始まったというが、別に世界第二位の経済大国でなくってもいいし、そんなことを誇る必要もない。十倍もの人口がある中国やインドがGDPも大きくなるのは当たり前だ。単純に十倍も飯を食うんだよ。かって日本がイギリス、フランス、ドイツを追い越した頃、ヨーロッパの国々は日本をどう感じていたのだろうか。……あれほど期待した政権交代も迷走と失望だけであるし、マスコミというTV、映画、出版、新聞などの質の劣化は進んでいるし、政治家の醜悪な媚態は眼を被いたくなる。
その点、インターネットの方がチョイスするのは自分だからはるかにクールに見れますね。
ああ、何とかしてくれ!という叫び声が聞こえる。プロザックなど向精神薬、それとも酒でも飲まなければやっていけない時代なのか? それとも偽薬プラシーボでも調合してもらうしかないのだろうか。(placebo:ラテン語で「私を喜ばせる」は、本物の薬に見えて効く成分は入っていない偽物の薬の事で、二重盲検法による医師(観察者)からも患者からも不明にして行う方法で投与しその効果を探る)。これは病気より人間を対象とする心理学、社会科学的意味のほうが大きいように思われる。
演歌の歌詞で「だまし続けて欲しかった…」なんて、大本営発表でもいい希望(まれなのぞみ)を信じたいんですね。人間は。ご利益宗教、怪しげなサプリメント、磁気ネックレス、ヒーラー、携帯依存の友達ゴッコ…..。何でもいい、自分を騙す「メランコリーの妙薬」が欲しいんですよ。そして人間そのものは数千年変わっていないんですね。
ギリシャ神話のパンドラの話はほんとうに皮肉だ。開いてはいけない箱を好奇心に駆られて開くと、あらゆる悪霊や災いが吹き出した。慌てて蓋を閉じると中には「希望」だけが残った、と。