12/ 16th, 2010 | Author: Ken |
モンクス・ミュージック…此の1枚。
不協和音的不思議なハーモニー、特異なリズム感覚、頻繁なテンポチェンジで不安定な繋がりのフレーズ、前衛を漂わす革新性…。
セロニアス・モンクを始めて聞いたときには決して耳慣れした心地よい音楽ではなかった。奇人、変人?ビバップの創始者の一人でありジャズの巨人であるのだが、ピアノという楽器がまるで打楽器のように聞こえた。そのユニークさを理解できなかったのだ。
ところが1963年のコンサートに行った。ライブで体感すると驚愕だった。恐ろしくスィングするのだ。聞いているこちらが足を踏み鳴らし体が揺れ動いてしまう躍動感がある。モンクもソロが終わると舞台を体をゆすりながら歩きまわる。ジャズとは体感の音楽であるとその時分かった。そしてヴォーカリストが現れた。超肥満体のニコニコ顔のオジさんだった。ジミー・ラッシング、それまで名前すら知らなかったのだが、そのスイングすること!ジャンピンテンポの軽快さとバラード、モンクとブルーズがこんなに合うなんて! それ以来モンクとラッシングのファンになった。ジャズをだんだん知るようになり古いレコードを聞き出した。
あの25歳で夭折した天才ジャズ・ギタリスト「ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン」(1941・5・12)太平洋戦争が始まる年だ。
「Swing To Bop」を聞いたときの悦びったら、なんて凄い!ぐいぐいドライブし牽引するのだ。若き日のディジー・ガレスピー、ケニー・クラーク、セロニアス・モンク、ドン・バイアス等、後の巨人達が演奏しているのだ。録音状態を悪く、途中から入るのだがこんな演奏なら一晩中聞いていたい….。そしてモンクが来日する度に行った。サインももらったのだがどこへ行ったやら….。
“Brilliant Corners“ (1957)この太いサウンドを聞いてみろ。 “Monk’s Music” (1957)最初の曲Abide with Meから何で賛美歌なんだ?
そしてWell You Needn’t Rubyあの有名なモンクのコルトレーン、コルトレーンという叫び。驚いたブレイキーのドラム・ロール。コルトレーンのソロ。この緊張感、破れかぶれにも取れる大胆さ。奇妙な喧騒感に満ちシリアスで迫力ある演奏….。「Epistrophy」重厚なアンサンブルの異様な迫力、ぼくの一番好きなモンクがある。これぞモンクス・ミュージックなのだ。モンク作曲あの「panonika」。比類ない美しさをたたえた「Round About Midnight」それだけで彼の偉大さがわかる。とあるバーの片隅でカウンターにもたれて一人で浸りたいものだ。
おっと、ぼくは酒に弱いので「Straight No Chaser」とはいかないが…..。思い出す「真夏の夜のジャズ」(1958)バート・スターンのキラキラするヨットの映像とモンクの音の重なり「blue monk」だ。
●Monk’s Music (Riverside)
Thelonious Monk (p) Ray Copeland (tp) Gigi Gryce (as) Coleman Hawkins (ts) John Coltrane (ts) Wilbur Ware (b) Art Blakey (ds) Jun. 26, 1957, NYC