11/ 28th, 2009 | Author: Ken |
創造性はどこから来るのか。
●「アスペルガー症候群の天才たち」マイケル・フィッツジェラルド著/石坂好樹・花島綾子・太田多紀 訳/清和書店
天才と呼ばれる歴史的な人物を心理病跡学から論じ興味深く読ませる。哲学者ウィトゲンシュタイン、数学者でアリスのルイス・キャロル、数学者ラマヌジャン、詩人W.B.イェイツ …彼らはHFA/ASP高機能自閉症およびアスペルガー症候群だった。天才が創造性を高めるのに自閉症であることがどのような影響を与えているかを、事例を基にして、自閉症の対人関係の偏り、他人を慮る情緒の欠如、対人障害を持ちながら、常人ではなし得ない果てしない努力や極度の集中力と持続など。天才の「自閉的知性」を探求していく。
●「なぜ彼らは天才的能力を示すのか」サヴァン症候群の驚異。D.A.トレッツファート/高橋健次 訳/草思社
知能は劣っているのに驚異的な才能を発揮するサヴァン。電光石火計算、カレンダー計算、カメラ的視覚写実、立体把握、一度聞いたらすぐ演奏できるCD的能力、コンピュータ的記憶、素数で遊ぶ…。しかし彼らは新しい数学の定理は発見できないし、音楽にも新しい啓示はもたらさない。人間の創造力は脳のどこにあるのか? ジェリーみたいな1300ccほどの脳、タンパク質と脂質と水でできた脳。どこにその秘密があるのか? 天才アマデゥス・モーツアルト。彼はアレグリのミゼーレを一度聞いただけで全曲の総譜を書き、新しいシンフォニーを一瞬で作曲したといわれる。われわれ凡人に神は「アマデゥス」を与えてくれなかったんだ。せめてサリエリの10分の1ほど、いや楽器をさわれるほどの才能でも授かりたかったものだ。