10/ 23rd, 2011 | Author: Ken |
彼は赤いジャケットで走り去った。
一着の着古したジャンパーがある。なぜか捨て去ることができないのだ。McGregor Drizzler:ドリズラー。この不思議な響きはDrizzle(霧雨)に対応するウォーターリペレント素材の名でゴルフ・ジャッケットであった。縦糸はレーヨンフィラメント、横糸ははコットン、織地はバックサテン。ゴルフ好きのアイゼンハワー大統領も着たことだろう。通称ドリズラーと呼ばれるのは両サイドのポケットにコードを入れたパイピングが施され、それが大きな特徴であり魅力なのだ。
それを一躍有名にしたのが1955年、ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」だった。Leeのブルージーンズに真っ白なTシャツ、これはHainsだろう。そして真っ赤なドリズラーだ。映画ではNylon Anti-freeze・ナイロン・アンチフリーズだった。アウターシェルはナイロン・オックスフォード、ライニングはアクリルのボア。そのスタイルが生意気、ひねくれ者、ぞんざい、何ともカッコ良かった。アメリカ文化の象徴であり青春の蹉跌ですね….。
パックス・アメリカーナを謳歌していた50年代、そして冷戦とヴェトナム戦争の影が忍び寄る60年代、ジョージルーカスの「アメリカン・グタフィティ」は最後の輝きだろうか….。それをVAN Jacketがちゃっかり頂いてスウィングトップ(ゴルフの上着)名付け大当たりした。石津謙介先生、くろすとしゆき先生、やりますね。今はジャンパーと言う言葉も使われなくなり、フランス語のブルゾンとか、スポーツ系はウィンド・ブレーカーだ。
でも「理由なき反抗」も「エデンの東」も「ジャイアンツ」もジミーの映画は好きじゃなかった。何かコマしゃくれた面が厭でね。「暴力教室」のほうがずっと鮮烈だった。「ロック・アラウンド・ザ・クロック」を聞くだけで興奮しますね。
One, two, three o’ clock, four o’ clock rock. Five, six, seven o’ clock, eight o’ clock rock.
Nine, ten, eleven o’ clock, twelve o’ clock rock. We gonna rock around the clock tonight.
そうそう当時、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」もどこがいいのかよく分からなかった。今読み直していると、若者が「大人になって読んでは駄目だ!その年代で読まなくちゃ」。..… ウーン、多分ライ麦パンを食べ過ぎ、ライ麦ビールを飲み過ぎたせいだろう。