2/ 4th, 2011 | Author: Ken |
御用だ!……何でも十傑。
御用だ!神妙にしろイッ!捕物帳はなんて愉しいんだ。この日本独自のミステリーは岡本綺堂「半七捕物帳」を嚆矢をもってするが、そこには「半七は江戸の隠れたるシャアロック・ホウムズであった……」とある。でも江戸時代は科学的操作方法も無かったし、ミステリーといっても理詰めの推理の構成は不可能だ。そこで結局町奉行配下の与力,同心、目明しが大江戸八百八町を生きいきと駆ける…その情緒、風俗、人々の人情味など独特の日本的風景エンターテインメント物語になった。逝し世の面影をよすがとするわけだ。
⚫️【半七捕物帳】岡本綺堂 明治中期に律儀で昔かたぎの半七老人の思い出を、茶飲み話を聞くうちに手柄話や失敗談、情緒たっぷり。
⚫️【銭形平次捕物控】野村胡堂 親分、てえ変だ、てえ変だ!…何でえ、うるせえぞ、ガラッ八!
⚫️【明治開化安吾捕物帳】坂口安吾 鹿鳴館時代を背景に旗本の末孫で洋行がえりのハイカラ男結城新十郎。剣術師範泉山虎之助、戯作者花廼屋因果、それに氷川の隠居勝海舟が絡む。海舟の冷徹な推理は……なんだ。
⚫️【若さま侍捕物手帖】城昌幸 若さまが船宿喜仙の二階座敷で、ちびりちびりと、そこへ岡っ引きの小吉が駆け来んでくる…。
⚫️【顎十郎捕物帖】久生十蘭 長大な顎から付いたあだ名とそのコンプレックスを持つ風来坊、仙波阿古十郎の活躍を描く捕物帳。
⚫️【人形佐七捕物帳】横溝正史 妖艶・情痴・怪奇・諧謔・残酷のからむ横溝正史ならではの面白さ。神田お玉が池のイケメン佐七。
⚫️【風車の浜吉捕物綴】伊藤桂一 小石川伝通院で風車を売るもの静かな男、浜吉。ある事情から江戸所払いになった暗い過去、元は根津の親分と言われた岡っ引きだった。諸国を放浪し人足時代におぼえた籠風車作り。世を偲んでひっそりと生きているが…。
⚫️【加田三七捕物そば屋】村上元三 旧幕時代、南町奉行所同心であった加田三七、御維新後湯島で蕎麦屋を始めた。だが昔の血が騒ぐ。
⚫️【貧乏同心御用帳】【岡っ引きどぶ】柴田錬三郎 何人もの親無し子を育てながらの貧乏同心、大和川喜八郎。岡っ引きどぶ、こいつは武士を捨てて飲む・打つ・買うの放蕩三昧。まあ狂四郎やら色んなのが出てくるは…。柴錬ここにあり!
⚫️【神谷玄次郎捕物控】藤沢周平、北町奉行所の定町廻り怠け者同心。
⚫️【耳なし源蔵召捕記事】有明夏夫 大阪弁がええねー。舞台は明治やさかい、化学をケミカル→舍密となって科学的捜査や岡蒸気に乗るのが大好きやし。耳なしの海坊主親分が一発カマス!。ほら浪速のど根性でっせ。
⚫️【彩色江戸切り絵図】【無宿人別帳】松本清張 切り絵図の「蔵の中」なんて大店の殺人事件なんだが、ある朝庭に穴が掘ってあってその中で男が死んでいる。一体何んで穴掘ったんだ?以外や以外、さすが清張ミステリー….。人別帳の大牢の話、こりゃ凄い、老名主、詰めのご隠居なんて、おめー、ツルはどうした?少し暑苦しいぜ、さくを作ろうぜ、きめ板で…..そして赤猫だーッ。
⚫️【鬼平犯科帳】池波正太郎 言わずと知れた火付盗賊改、長谷川平蔵だ。おとなしく縛につけイ!最近は彼の食生活のほうが人気!
⚫️【深川安楽亭】山本周五郎 捕物帳じゃないが、江戸の吹きだまりにのなかの人情。映画「いのちぼうにふろう」小林正樹の傑作。
●「与力同心目明しの生活」(1970年)横倉辰次:生活史叢書:捕物帳を読むにはその背景を。伝馬町の牢のしきたりなんてそれはもう!刺青の違いや縛り方、刑罰、お仕置き……興味がそそられる。江戸時代の刑罰はこのようだったのだ。首切り朝右衛門なんか……。
●「図解・隠し武器百科」(1977年)名和弓雄/新人物往来社:江戸時代は道具の発達は無かったという定説があるが、何のなんの、あるはあるは、あらゆるユニークな武器の百貨店だ。飛び道具印地ってご存知?子連れ狼に印地打ちの男が登場したりして。
よう、よう!それにしても「水戸黄門」「暴れん坊将軍」「遠山の金さん」は気に食わねエぜ、だってよ、最後は権力を振り回すんだぜ。何が庶民の味方でぇ、てめえは上にいてよ、食うや食わずのあっしらのことが分かるかッてんダ!てやんでェー!