5/ 14th, 2011 | Author: Ken |
惑星メスクリン
惑星メスクリン、そこは異常な世界である。重さは地球の5000倍、木星の16倍の質量、赤道部分で直径88000キロメートル、自転速度は軸に対して毎分20度、1日は17分45秒で1年は1800日である。自転軸は軌道面に対してして28度傾き、惑星は押しつぶしたような楕円形であり途轍もなく重い星なのだ。高速回転のため赤道での重力は遠心力により3G、極での重力がなんと670G、並の地球人なら赤道で体重200kg、極地では40トンを超える。水素の大気とメタンの海をもつマイナス170度の惑星である。メスクリン人は体長45cmぐらいでムカデに似た2対の鋏と18対の脚を持つ好奇心旺盛な知的生物である。
…..地球人の無人探査船が極地付近に着陸し行方不明となった。貴重な機材とデータを得るために調査隊は、メスクリン人の貿易船ブリー号の船長バーレナンと契約し彼らの冒険がはじまった…..。
ハードSFのクラシックとも言える作品だ。作者ハル・クレメントは、まず惑星の状況設定を緻密な計算に基づいて行い、生態系、惑星系そのものまでデザインしていく。A・C・クラークに代表される科学知識に裏付けされ、宇宙を世界を、科学的に認識することによって問題を解決に導くお話なのだ。だから宇宙を舞台にした単なる人間恋愛冒険物のスペースオペラとは一線を画すのだ。
…..そうだ、SFのことを空想科学小説と言ったね。まさにその通りなのだ。面白いですよ。
「MISSION OF GRAVITY・重力の使命」1954:ハル・クレメント/浅倉久志 訳 ハヤカワ文庫