11/ 27th, 2009 | Author: Ken |
風雅の技法 … 洗練。
「嵯峨野名月記」辻邦生。琳派の能書家・本阿弥光悦、絵師・俵屋宗達、開版者・角倉素庵が作り上げた「嵯峨本」。
美を求め、美に掛けた男たちを描く。華麗に語られ歌われる優美と典雅の世界…。ちょうど隣の神戸市立博物館で東洋美術展が開かれていた。早速行ってみると嵯峨本(私は見たことがない)はないが、光悦と宗達の「鹿下絵和歌巻」を見ることができた。優美な宗達の絵に美しい光悦の書。
現代風に言うとレイアウト、タイポグラフィー、押さえた色彩がデザインされているのだ。その空間処理の見事さ。洗練の極地とはこういうことか!と分からぬまま感心した次第だ。これが戦国の荒々しい時代を生きた男たちの作とは…。ゆえに理想の美を作ろうとしたのではないだろうか。