10/ 1st, 2012 | Author: Ken |
猫町伝説。
猫とは不思議な生き物だ。気ままで優雅、毅然、おすまし、しなやか、残酷、媚びたり媚びなかったり、と、女性の性格に例えられることが多い。人間に一番身近な動物でありながら妖怪譚や神話のたぐいが。 ……..あれは夢の中の出来事だったのだろうか?
そう、ポール・デルヴォーの絵のような町、凍りついた時間、あまりにも静かな夜に猫が次々と集まってきて僕の頬に極めて柔らかい感触が……気がつけば枕元で喉を鳴らして愛猫がくっついて寝ていた。……どこかに猫の町がありそうな気もする。
「いにしえの魔術」アルジャノン・ブラック ウッド:北フランスの小さな中世風の佇まいの町。宿屋の女将は大きな斑猫を思わす。傍らを柔らかく匂いのいいものが通り過ぎた。宿屋の娘だ。安息日(サバト)の夜、窓々に人の顔が現れぴょんと地面に飛び降りる。その瞬間四つ足の猫に変身するのだ。わたしも抗いがたいその衝動に駆られる…..。
「猫町」萩原朔太郎:そして「ウォーソン婦人の黒猫」…..猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ。そして家々の窓口からは、髭ひげの生はえた猫の顔が、額縁の中の絵のようにして、大きく浮き出して現れていた。
……ああ このおほきな都會の夜にねむれるものはただ一疋の青い猫のかげだ…….
「猫の泉」日影丈吉:フランスの片田舎ヨンという町にたくさんの西藏猫がいると言う。その地で私は三十番目の外来者で予言を聞いて欲しいと頼まれる。大時計が刻を打つ、その機械音から予言を聞くのだ。…..ガッタン ルルー グルール グルルール それがヴァッタン(去れ) ジュンノム(若者よ) デリージュ(洪水) ロルロージュ(大時計)と聞こえたようなきがした。…..
「黒猫」エドガー・アラン・ポー:…..完全犯罪と調子に乗って妻を塗り込めた壁を叩く。その壁からすすり泣きか悲鳴のような…..。
「我が輩は猫である」夏目漱石、言わずと知れた。
「長靴を履いた猫」ヨーロッパの民話だが明治の我が国に翻訳された。題名は「猫君」(びゃうくん)、その挿絵が奮っている。裃に居住まいを正した猫君が正座して…かわいいね。
「チシャ猫」ルイス,キャロル:不思議の国でのアリスに出てくる猫は消えたのにニヤニヤ笑いだけが残っている…..。他にもロバート・A・ハインラインの「夏への扉」、レオノール・フィニの何て言ったかな?そうだ!「夢先案内猫」だ。とか…
猫にあんまり関係ないけれど水が相転移するカート・ヴォネガット・Jrの「猫のゆりかご」とか。「空飛び猫」というのもいた。
そうそう「鍋島化け猫騒動」とか、谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のおんな」もあったな。映画は森繁だった。
ほかにも僕の知らない猫話がたくさんあるのだろうな。