1/ 31st, 2012 | Author: Ken |
猿の惑星 Planet of the Apes
1968年はSF映画の当たり年だった。「2001年宇宙の旅・2001:A Space Odyssey」と「猿の惑星・Planet of the Apes」だった。
もちろん2001はアーサー・C・クラークとキューブリックによるハードSFだ。だから両者を比べる訳にはいかないのだが、同じよう
に猿人と猿が出てくるから、そのメークアップが面白い。「猿の惑星」はフランス人のピエール・ブール原作で、彼は「戦場に架け
る橋」の原作者でもあるのだ。彼は仏領インドシナで現地人を使役していたが、第二次世界大戦中、ヴィシー政権軍によって捕らえ
られ日本軍の捕虜となった。この捕虜経験が、後の「猿の惑星」繋がったのではないか?まあ、早い話「猿」は日本人やアジア人で
ある。黄禍論が底にあるのだろう。「カナシマ博士の月の庭園」というのも読んだ記憶がある。 月に一番乗りを目指す米ソに先駆け
て、日本人の博士が片道燃料で特攻着陸をやってしまうのだ。そして月で腹切りするという、まあ戦争中の日本人を見れば無理も無
い話なんだが、あんまりいい気はしないね。 映画の方は人間社会への辛辣な風刺をこめた作品で、最後のシーンなんて強烈なショッ
クだった(数えたことはないが自由の女神は何回壊されたのだろう。知っているだけでも…..)。 人と猿との「立場の逆転」がヒトと
いう種の傲慢さを考えさせるのだ。…ほら、お隣の国にGDPが負けたとかで憤慨したり、またそのお隣の国を侮蔑する輩も多いじゃあ
りませんか。戦争のニュースの無い日はないし、世界中で他者を憎悪したり、奴隷にしたり、収奪したり、恫喝したり、殺したり、鬼
畜米英だのイエローモンキーだの、相手が不信のあまり原水爆で人類そのものを絶滅させる道具を未だに大量に持っているじゃないか。
少なくとも人間以外にそんなことをする動物はいないのだから。
….猿の惑星….あんまりヒットしたものだから続々と続編が作られた。正直、落胆しかありませんでしたね。最初の新鮮なアイディア
が 通俗となった作品は堕落でしかないのだ(エイリアンの斬新さもプレデターと共演するようになればお終いだ)。…..コーネリアス
なんて名前が懐かしいですね。 2001年宇宙の旅はシネラマの大画面で見たのだが、これぞSF! 未だに古びない至高のSFである。
正統派でぐんぐん押してくるスケール、宇宙船の概念を変えた形態、クラシック音楽がまるでこの映画の ために作曲されたかと思う
くらい合わさっていた。…..そうそう、この映画を星新一さんと筒井康隆さんが見て、「退屈だったーなー」「画面の一部 にCMを流
せばいいのに」なんてことを読んだことがある。僕は少年だったがイヤな気分になりましたね。お二人ともSF作家だから対抗意識を
燃やしたのか! イヤイヤ、アイディア、映像の斬新さとアメリカの巨大パワーに圧倒されたのだろう。だからケチをつける位が関の
山だったのだ。だって星新一さんが加わった映画「マタンゴ」(原作W.ホジスン「闇からの声」)あれもSFですか?…悲しいですね。
また永ちゃんが「ローリングストーンズ」が来日したときこう言っていた。「オレ負けてねーよ。負けてないね」。そりゃ結構だけど
ストーンズは世界が舞台だけれど永ちゃんは日本だけだしね。誰の眼で見たって…..。まるで旧日本帝国みたいだ。….物量に負けたな
んていう負け惜しみと同じだ。アレッ、悪口になっちゃった。お許しを。