2/ 16th, 2017 | Author: Ken |
画狂人、北斎。
北斎神奈川沖浪裏
「すみだ北斎美術館」に行った。北斎のほとんどは版画だから美術館の人ごみで見るより高品質の画集で間近に見る方がいい。何と言っても、遠近法を駆使したそのレイアウトに唖然としてしまう。西欧ではルネサンス頃に始まった遠近法。日本人も知らなかった訳じゃないと思う。しかし、それが取り入れられたのは1740年頃の奥村政信による「芝居狂言浮絵根元」の舞台絵だ。それから北斎に至って極端なまでも遠近法が用いられた。「神奈川沖浪裏」は超ディープフォーカスの広角レンズみたいだ。そして遠くの富岳と手前の波の三角の相似形の極端な比較。また円や半円との対比。北斎はレイアウトを計算し尽くしているデザイナーだ。そして、北斎漫画に於けるデッサンの確かさ!あくまで人間を見据えたユーモアと筆力、90歳で死を間近に「天我をして五年の命を保たしめば 真正の画工となるを得べし」と語ったとか。まさに画狂人、いやイラストレーターの至高である。世界でもこんな人ちょっといない!ゴヤも晩年に(1746〜1828)Aún aprendo「俺はまだ学ぶぞ!」と。ミケランジェロも(1475〜1564)Ancora imparo 「私はまだ学んでいる」と。北斎(1760〜1849)も「あと10年、いや5年!」と。ぼくも痛切にそうありたい!