6/ 21st, 2014 | Author: Ken |
真面目な胡乱な話…..。
「魂」「精神」「意識」の正体は一体何なんだろう? そんなものがあるのか? いや、確かに私の中にあるのだが曖昧模糊として掴むことができない。何かを「覚えている」「知っている」だから僕は「記憶によってぼくは存在する」。じゃ「記憶」とは何なんだ。そういう自分の思い込みか幻想か? うーん、かってデカルトは「物体」と「精神」という「実体二元論」を唱え、記憶は松果体にあると考えた。….しかし、どうも脳は本棚やディスクのようにホルダーに入ったハードな状態であるのではなさそうだ。じゃ、このジェリーみたいな1400ccほどの脳細胞の「どこに、どんなに形で」保存されているのだ?
面白い話がある。MITのマックス・テグマークは、量子力学と情報理論から人間の意識は物質「perceptronium」(知覚物質というのだろうか?)があるのだだという。ふーん、物質でね…..。意識を形式化する「意識の情報統合理論」により物質としての脳から、どのようにして主観的な意識経験(クオリア)が生じるのか?これを量子力学からのアプローチで意識を、固体、液体、気体といった物質の状態と同じく、物質の状態「perceptronium」として扱うというのだ….と。じゃ僕の脳をスキャニングして他のメデイアにペーストできるのか…..?またこんな仮説もある。心理学者カール・プリブラムは、ホログラムを、脳の記憶をの仕組みを解明するモデルになるという。記憶は脳のどこかに局在するのではなく、ホログラムのように全体と個が一体になっているのだと?人体の60兆個の細胞一つずつに同じDNAが組み込まれているように。私たちが「心」と呼んでいるものは、ホログラムとして、物質的な脳の中に記憶されているのではないか? そして、デビッド・ボームは、「開示された秩序」のエネルギー(情報)の奥に「織り込まれた秩序」という隠れた本質があり、脳はこの「本質」のホログラムの一部であり、共鳴し合う振動が意識を生み出すとのだ…..と。
またルパート・シェルドレイクは「形態形成場」(モルフォジェネティク・フィールド)という「場」があり、人と地球、いや、この宇宙そのものが蓄積してきた記憶を共有し、それに同調していくという説である。「形態同調(morphic resonance)とは、時空を超えて似たような物に影響を与えるということだ…とシェルドレイクはいう。ロジャー・ペンローズは、「量子脳仮説」で「脳内の神経細胞にある微小管(チューブリン)で、波動関数が収縮すると、素粒子に付随する属性により意識が生起する」と。古代ギリシャでは記憶のメカニズムは、プネウマ(空気や息という意味)が感覚的印象を身体の中に運び、それが記憶となると考えた。かってアウグスティヌスは「空間に記憶が貯蔵される」そして「記憶が何らかの物質に還元される」という比喩で語った。じゃ、どんな形で?それが知りたいのだ。…….確かに感情や思考は脳内の微弱電流や化学物資で動いていることは証明されてはいるが…..。
還元主義を押し進めると、記憶とは結局は分子、それを構成する原子とその電荷によって決定される化学的性質、原子はクオークによって成り立ち、……..DNAは、蛋白質やアミノ酸などその生命を作り上げる要素に関する情報が記されているが、生命がどのように生まれ、成長し、どんな「思考」をするのかは記されていない(いや、本能とはどんなシステムで組み込まれているのだ?)。そもそも脳がどのような神経回路(複数の神経細胞のネットワーク)やシナプスの結合によって「自分」を生み出すのかと?記憶や喜怒哀楽、自己意識や自由意志などが、無数の神経細胞とネットワーク、それに関連する分子の働きなのだと言われても….。
ぼくという物質は「生まれ」(nature)か?「育ち」(nurture)か? それとも人間の想像上の「神」か?(ぼくは無神論者だ)?神が!そう考える人は多いし信じられれば楽だけれど、神があるとは到底思えない。クオークはビッグバン以来….確かに宇宙があるから地球があり、生物が生まれ、クオークでできた僕がぼくを感ずる。ああ、解らん!