1/ 18th, 2010 | Author: Ken |
鬼火
何かの拍子に心に沈積する澱みたいなものが微かにかき乱され、無意識の底から立ち上る憂鬱の痼りというか、ふと面妖な気持ちになることってありませんか。群衆のなかにいながら急に孤独感に襲われるとか、深夜の雨音とか、酔った体で人気の無い街を歩いている時とか、エリック・サティの旋律を聞くとそんな気持ちになるのですが…。
グノシェンヌ、これはグノーシスなんでしょう。古代ギリシャ語で認識・知識を意味する言葉で、自己の本質が神の認識に到達することを希求する思想だそうだ。…1890年作曲。拍子記号も小節線もなく、音と時間を考えさせられる。
「鬼火」Le Feu follet (ゆらめく炎)ルイ・マル脚本、監督。 サティの印象的な旋律を背景に、抑制の効いたモノクロームの画面がアルコール中毒の男が死に至るまでの48時間を描く。…友人に会いに行く。所詮、他人は他人、みんな日常という俗物になっている。喧噪と雨の夜のパリを彷徨う。背景にサティの音楽、彼を救うことは誰もできない。ドラマもない、感動もない、何も無い、僕はみんなを愛したかった。誰も愛してくれなかった。「僕は死ぬ。君に愛されず、君を愛さなかったから。お互いの間が緩んだから。死ぬことで、僕の烙印を君に残そう」銃口を胸に引き金を…。…確かATGで見たのだろうか?40年も前だ。