4/ 1st, 2010 | Author: Ken |
April Fool
祖父の遺品を整理していたら妙なものが出て来た。確か明治の末に赤ゲットであったとは聞いてはいたが…。
こんな日乗の切れ端がついていた。…明治四十一年、四月朔日、吾、欧羅巴洋行より帰邦し折り、喜望峰を超え阿弗利加まだがすかるの小諸島にて石炭積み込みのため停泊。暑気殊の外強くあまりの無聊さに慰みとして腕に憶えある夜釣りと相成った。糸を垂れる事数刻、凄まじき引きに甲板より引き込まれそうになった。激闘数刻、汗淋漓と流れ、精も根も尽き果てやうとした頃やうやくにして巨魚を釣り上げた。その容貌怪異にして怪しき燐光を放ち足るが如し。はて何という怪物ならんと土人に聞くや、ごんべっさ、権兵衛佐と騒ぐ。昔より神の使わしたる魔魚にて凶事あるとて海に還せとしきりに言う。この奇っくわいなる魚、刺身にして食うべきにもあらず魚拓を撮りて海へと還した。船長のあいざっく・うぉるとんjr.が言うに、これ、すこっとらんど、ろっほ・ねすなる湖に古き伝説あり、その仲間なるらんと。それにしても大洋は不思議ではある…
このように日記には書いてあるが祖父は明治の男ゆえ気宇壮大、話も大袈裟であったと聞く。まあ、信じるか信じないかは勝手だが。