5/ 5th, 2014 | Author: Ken |
Bit from It? It from Bit ?…… 何か味気ないネ。
Bit from It とは物理学者ジョン・ホイーラーが「宇宙のあらゆるものは情報であり、その情報(bit)を観測することによって存在(it)が生まれる」と言った。確かに人間は五感を通じてしか情報を得られないから、「存在の全ては情報であると」….。
そんな難しいことを言いたいんじゃなくて、It from Bitの時代になってしまったんだ!という一抹の寂しさを感じる話だ。そう、手触りあるアナログから無味乾燥したデータというデジタルになってしまったのだ。僕はデザインの仕事を半世紀も続けているが、ン、90年代の初めにAppleの Macを使い始めてから、毎日キーボードとマウスの生活だ。三角定規もデバイダーも鉛筆も筆も何もかもデジタルになってしまって味気ないことこの上ない。
かってLPジャケットにはズッシリとした手応えと1フィート角のデザインがあった。そのデザインに憧れて無理をして高価なレコードを買ったものだ。それが、テープになり、CDになり、ネット配信になった。簡単すぎて….。カメラもデジカメになって、撮影は簡単だし(実はモデル撮影でも置影でも構想と準備や設定が大変なのだ。これで質が極まるのだが…)画像合成や修正も簡単(腕があれば)だ。デジタルというBITになって簡単だけれどもイージーになってしまった。つまり、お手軽なんだ。だから品質もギャラもね。本だって雑誌だってそうだ。あの若く貧しき時代に、古本屋で手にとった「洋書」(古いネ)の艶やかでダイナミックで新鮮で!レイアウトもイラストレーションも写真も!ジョージ・ロイスもハーブ・ルバーリンも、ボブ・ピークのイラストも。本だって「電子書籍」だ。僕はモニターで見ても読んでも、消した瞬間に何も記憶に残らないのだ。
つまり「読む」のではなく「見る」んですね。映画もわざわざ映画館に行かなくった。昔はTVで見たい放送があると急いで帰ったものだ。…..ビデオからDVDになり、HDになり、またはYou Tubeでお手軽だ。あの年に数十本見た映画少年も今やほとんど行かなくなった。…また、たまに行っても詰まらん映画で失望ばかりだ。….僕も古いのかね?もう歳なのかね?….やはり人間は感じてこそ印象となるのだ。もう人間サイズで実感できるものと言ったら「食べ物」くらいしかないのだろう。第一、罪がないしね。だからFBやBlogなんかで食べ物ばかりの記事になるのだろう。…..僕は通勤電車は書斎だと思っている。本を読む楽しみとは「知らないことを知る」こともあるけれど、読むという行為は頭のなかで声を出さずに「想像と映像を見ている」んですね。つまり「イメージ」という実態の無いものが見えるのだ。イメージとは脳の記憶と連鎖と思考が、あるかごときItを作り出し、それをまた絵や文章でアウトプットすることなのだろう。でも、「モノ」という「アナログのIt」から「デジタルというBit」に流れるのは時代の必然だ。…でも何か寂しいですね。
と、言いながら、この画像もPCのデジタルだからこそ出来るのだが…..。でも、見る人は人間というアナログ存在と感情なんだから。