6/ 22nd, 2011 | Author: Ken |
Black Swan
久々におもしろい映画を見た「Black Swan」。バレリーナが至高の芸術を目指して苦闘し、極めるお話かと思っていたのだが、何のなんの心理サスペンスでありサイコスリラー映画だ。……..バレェ「白鳥の湖」のプリマドンナを目指すニナ、清楚潔白、最高技能、そう、ホワイト・スワンなら完璧なのだが、「君は官能的で邪悪さを持ったブラック・スワンは無理だ」。と演出家に宣言される。
ここから彼女の苦悩が始まる。娘に自分の夢を託す母親(どこかキャリーの母に似ているね)、そして重圧と葛藤で精神崩壊を起こして行くのだ。ヒッチコック的盛り上げなんだが、ヒッチならもっとお上品でユーモアがある…。この映画は生々し過ぎるのだ。
老いて去って行くかってのプリマの無惨さ、置き換わる新しいプリマとしての自分。ブラックスワンを演じるためあえて危険な行為も厭わない。….幻覚と幻影、現実との交差、自らの肉体を自傷させる自虐性。そうとうにスプラッターだ。
…最後はライバルと争い殺人を犯すのだがだが….情熱的に、蠱惑的で、挑戦的で、完璧に踊り切ったブラックスワン。満場の喝采に包まれて、そして………この辺はE.A.ポーのウィリアム・ウィルスンみたいだね。多分…..そうじゃないかな。
主演はナタリー・ポートマン(あのレオンの女の子)振付師をヴァンサン・カッセル、監督はアダーレン・アロノフスキー。あの「π・パイ」、「レスラー」筋書きのあるドラマを演じる老いたプロレスラー、いいネ。…..それにしても我が国の映画は…無言。