12/ 19th, 2016 | Author: Ken |
Born to be Blue
「Born to be Blue」70年代のチェット・ベイカーを描く映画なんだが、麻薬に溺れ、歯を失い、他人を裏切り、その破滅的な生き方と裏腹に、ヴォーカルやホーンは少年のような声で恋や失恋を歌う。それがチェットの魅力なんだ。マイルスやディジーは巨人だけど、チェットのような人がいたからこそ厚みと奥深さと、ジャズが豊かになったのだ。映画はどう?・・・おそらく制作者たちはチェットのライブや50~80年代のJAZZも体感していないのだろう。映画の出来はもう一つだ。最初にミンガスの「ハイチアン・ファイト・ソング」なんかが流れて、これは!と思ったら続くはカッタるいシーンばかり、演奏もソロが続かなくてすぐ終わる。これじゃジャズファンの期待はずれ。結局映画が終わりスタッフの名が連なる時のバックが一番良かったじゃないか!まあ、通俗私小説的の気怠さを感じた時間でした。これじゃyoutubeの演奏みるほうが遥かに上だし、ブルース・ウェーバーのドキュメント「Let’s Get Lost」の感性もない。・・・思い出す。87年だったか、舞台に皺だらけの老人がいる。彼が歌い出した。眼を閉じると、あの青春の恥じらいに満ちた声が・・・。