10/ 11th, 2011 | Author: Ken |
Box Art / Oldies and Goodies アメリカン・ドリーム
パックス・アメリカーナ…第二次大戦に勝利し超大国としてアメリカの全てが輝いていた時代。オールディーズ&グッディーズ、そこには人種問題も?貧困も?格差も?エネルギー問題も?核の脅威も?なく、楽天的陽気と機械文明礼賛とハリウッド的能天気が充溢していた。
敗戦国の少年としてGI(進駐軍)が捨てていった古本の「LIFE」「Seventeen」「McCall’s」「Esquire」「New Yorker」「TIME」などの雑誌は目眩く夢の世界だった。そのカラー刷りの広告にはシズル感たっぷりのステーキや輝くばかりの新車が妍を競って艶やか此の上なかった。まだ日本では木炭車や三輪のバタバタさえ珍しかったのだ。そして「スチュードベーカー」、この響きにはカルフォルニアの陽光とラッキーストライクとバーベキューの香りが立ち上るのだった。やがて冷戦の影が忍び寄り、朝鮮戦争、キューバ危機、ヴェトナム戦争、繁栄の裏側も知られるようになった。60年代、まだ雑誌はきらびやかな広告に溢れていた。
いまは無きPONTIAC・ポンティアック車の広告なんて!AF/VK、アート・フィリッツパトリック(自動車描写)とヴァン・カウフマン(背景描写)のコラボレーションによる イラストレーションはあまりにもカッコ良過ぎた。
http://www.fitz-art.com/home.htm …こんなの見ると僕の絵なんてとても恥ずかしいけれど。Studebaker champion 1950だ。それはアメリカのライフスタイルの理想なんですね。ぼくもこんなイラスト(レンダリングやパース:当時は筆による手描きだった。いまやレンダリングといえばPCの3Dだ)が描きたくって水張りケント紙にポスターカラーで随分努力したのだが…..。とてもとても描きゃしない。だって背景の生活感なんて未知の世界だものね。またDBBによるVW・カブトムシの広告もそのアイディアに脱帽したものだ。日本にもアドバタイジングという言葉が定着してきて広告業界の仕事は憧れの的だった。
…いまは半分後悔しているけどね……いつしかネット時代になり全てはPC作業、デジタルが空中を飛び交う世界だ。ぼくも毎日PCお相手にイラストレーションも大部分はPCで描くが、マニュアルを決して忘れないつもりだ。だってそうでしょう。手や指先で描けない人がどうしてモニターやタブレットやキーボードで描ける?….ぼくって古いのかしら