11/ 28th, 2012 | Author: Ken |
Farewell my Lovely…..さらば愛しき女よ
戦争の足音が近づく1941年・夜のロスアンジェルス下町、やるせないアルトがむせび泣く、クレジットが流れる、ネオンが映る安ホテルの窓、初老の男のつぶやき「最近疲れを感じる….関心はジョー・ディマジオの連続安打だけだ….」この哀愁がたまらないのだ。(連続56安打というディマジオの不滅の記録が生まれ、12月8日には太平洋戦争が始まった。この前の年にはディズニーのファンタジアが封切られた。オールカラー、ステレオ、クラシック音楽をテーマに…嫌になるね、我が国では軍歌と特高、憲兵が…贅沢は敵だ!の時代なんですよ)
閑話休題 … 大男ムース・マロイ(ジャック・オハローラン)これがいいんだ、チンピラのS・スタローン、こんなマーロウ映画はもう作ることが出来ないだろう。だって時代背景を理解している人がいなくなったのだから….。いまソフトにトレンチコートなんて人いますか? 探偵なんて家業も浮気調査くらいなものだろう。スマートフォンやGPS、DNA鑑定とくりゃタフガイも形無しだ。… ハードボイルドは男の夢だからいいんですよ。最後のシーンもいいですね。「ポケットの二千弗が家が恋しいとサ…泣かせますね。
★世の中には親切で同じことを感じる人がいるものだ。 http://www.youtube.com/watch?v=JiiBwT9h2u8 をぜひ見てほしい。…この方にお会いする事があったらフォアローゼスを並々と一杯ご馳走したいものだ。
「さらば愛しき女よ」(1975年)●音楽 デヴィッド・シャイア 監督 ディック・リチャーズ 出演 ロバート・ミッチャム、シャーロット・ランプリング、ジョン・アイアランド 他
11/ 19th, 2012 | Author: Ken |
長いお別れ……The Long Goodbye
親友を亡くした。もう一ヶ月が過ぎたが夕刻になると、いまだに彼からの電話がありそうな気がする。バーのカウンターで一人ウィスキーを舐めていると、あのシャイな顔がドアを開けて入ってきそうな気もする。彼とよく話したものだ。お互い金も無いし二枚目でもなければ屈強な肉体の持ち主ではない。平凡な男だ。
だが、心に矜持だけは持ちたいものだ。仕事も生き方も、そうハードボイルドだよ。やせ我慢だ、ストイシズムだ。センチメンタリストでロマンチストを隠した強がりだ。まあ、精一杯突っ張ってね…….。
その彼が好きだった映画のサウンドトラック「The Long Goodbye」これが素晴らしい。切ないのだ、やるせないのだ。思い出と悔恨なのだ。そう、あの時……。マーロウの台詞「To say Good bye is to die a little.・さよならをいうのは束の間死ぬことだ」…..こんなカッコいい台詞を一度だけでも言ってみたいものだ。…でも親友は逝ってしまった。本当の長いお別れだ……。
You Tubeでこれを聞いてみてください。
There’s a long goodbye.
And it happens everyday when some passer by invites your eye to come her way.
Even as she smiles a quick hello, you’ve let her go. You’ve let the moment fly.
Too late you’d turn your head, you’d know you’ve said the long goodbye.
Can you recognised the pain on some other street, two people meet as in a dream,
running for a plane through the rain.
If the heart is quicker than the eye, they could be lovers Until they die.
It’s too late to try when a missed hello becomes the long goodbye.
長い別れが毎日のように起きる …. 通りすがりの女に視線が引き寄せられたとき
彼女が微笑んで声を掛けてくるのに君はすれ違ってしまった、大事な瞬間を手放したのだ。
振り向いても遅すぎる 長いサヨナラを言ってしまったのだから。 その痛みが分かるかい?
飛行機に遅れぬよう雨の中を走っているときにも どこかの通りでふたりが夢のように出逢う
もし心が眼差しより素早ければ ふたりは死ぬまで恋人でいれるのに …
もう試してみても遅すぎる 言葉を掛けずに長いお別れになってしまったから…
映画は1973年:監督ロバート・アルトマン、主演エリオット・グーリド、音楽ジョン・T・ウィリアムズ。その時代性というか70年代風のアレンジはあんまり戴けなかった。(あのアーノルド・シュワルッツネッガーがチンピラ、チョイ役で見事な肉体を見せているが、こんなシーンはどうだかね?)ハードボイルドはやはりソフトにトレンチコート、皮肉で気障な台詞をうそぶくマーロウでなくっちゃね。だってハードボイルドは大人の男のハーレクインロマンなんだから。
11/ 25th, 2010 | Author: Ken |
三つ数えろ
ハードボイルド。これは悪漢と戦う探偵話なんだが、一視点で客観的に描かれた硬質で乾いた文体のフィクションである。
1930年代の俗悪なパルプマガジンこそ彼らの活躍の場であった。いつか文学となり映画となりストイックでハードな男達になった。男の矜持を貫くタフガイのくせにハードの裏にセンチメンタルな哀愁さえ帯びた男だ。
これは映画におけるハンフリー・ボガートの力だ。シニカルなワイズクラック(警句、軽口)を口にし、ソフトにトレンチコートがお決まりのファッションになった。映画におけるヴィジュアルがスタイルを作ったのだ。世界で二番目の諮問探偵シャーロック・ホームズ(第一番は「モルグ街の殺人」ポーのC・オーギュスト・デュパン)だって、ストランドマガジンで挿絵のシドニー・パジェットが描いたからこそディアストーカーにインヴァネスコートのイメージが確立したのだ。あの不思議な形の鹿狩帽は「ボスコム谷の謎」で被っている。これがなきゃホームズにならないね。ジェレミー・ブレット主演の初期の作品なんて、そりゃイメージそのものでしたね。
こんな楽しいこと!そこでまたぼくの悪乗りというかオッチョコチョイが始まった。おいおいとハードボイルドで遊んでみたいと思います。一つ……人の世に、二つ…..二言三言とホラ話、三つ……見つける愉しみ数知れず。よろしく。
11/ 9th, 2009 | Author: Ken |
私は眠らない。
I Don’t Sleep「私は眠らない」。もちろん夜は「大いなる眠り」ですが、心だけは眠らせまいぞ、と。起きていても心が眠っていれば、見えるものも見えないし、何も感性として感じることができません。気障ったらしいのですが、「ハードでなくてはやってられない。やさしさがなければやって行く資格がない」と、F・マーロゥを気取ってみたくもなるものです。ハードボイルド。これは男のハーレクインロマンみたいなものだ。タフガイたちが、人間と社会の裏面で活躍する。しかし、心の奥底には誰にも侵されない矜持を持って…。
泣かされるじゃありませんか。ストイシズムなんだ、痩せ我慢なんだ、あえて楽な道、金や名声に背を向けるツッパリなんだ。
そして人間という愚かであって愛すべき、このどうしようもない存在を肯定せざるを得ないんだ。…生きているんだからナ。人間に一番近い霊長類、チンパンジーは何故いつも笑っているんだ。ゴリラはどうして不機嫌な顔をしているんだ?そう、人類の親戚として「チンプは人間の愚かさを笑い、ゴリラは悲観し沈思しているんだ」。ハードボイルドに行きたいものだね。