10/ 17th, 2011 | Author: Ken |
Duster Coat…世間という塵、人生という寒風に…。
世紀の塵を払って、いま蘇るダスターコート。
時は1930年代、当時のダンディ達はドライブに出かけるのも大変だった。
ダスターコートにゴーグルの重装備、ピクニックバスケットには、まあワインとサンドウィッチ。
それだけに夢もあった、ロマンもあった。時間もゆっくりと流れた。
ダスターコートには軽く機能的で防塵、防寒、最新の知恵が込められていた。
そして「これは素敵だ」と街でもビジネスにも着るようになった。
時代が忙しくなり、エアーコンディションが当り前になると忘れさられていった・・・。
だが、そんなコートが今あれば!という男が、どこかの蚤の市(たぶんポートベロー、
いやクリニャンクールか)で見つけてきた。そこで細部まで当時そのままに復活させた。
…祖父が残していてくれたらという人に、屋根裏の古いトランクに入っていたらという人に。
半世紀以上前そのままの姿で、洗いをかけた、まっさらの古着だ。
….だなんて。昔こんなコピーでコートを作ったのです。
実はポートベローで古着を物色していたら妙なコートがあった。無双仕立て(リバーシブル)、スカーフを止めるタブだの、ボタンを外しても前が広がらない仕掛けだの、コートの裾の内側に脚を通すベルトだの不思議なパーツがいっぱいついている。こんな汚い古着のくせに値段を聞くとトンでもなく高い。たぶん熱心にさわりまくっていたから足元を見られたんだろう。….一体なぜこんな仕掛けが?それを着て、とあるカフェで一杯飲っていたら、人の良さそうな爺さんがコートを指差し「ダスター・コート!あれは30年代だったぞよ。わしが若い頃このコートを着てマイバッハ・ツェッペリンやデユッセンバーグ、トライアンフ、ノートンに跨がってウェールズやノルマンディーの海岸を走り回ったもんじゃ」。とのたまう。ふーん、それでか!閃きましたね。ダスターコートか!日本に帰ったら早速…。爺さんに一杯奢ってやったら、お若いの「これは世間という塵、人生という冷たい風を防ぎ、愉しみを包むコートだ。大事に着なされ」。と詩人のような言葉でワイングラスを差し上げた。やるじゃない!…このアイディアを生かしてプロダクトした。なかなかでしたよ。何着ももっていたのだが、かろうじて一着だけいまも大事に取ってあるんだ。 ブランドはDunwood・Dunlop Masters製だ。