3/ 29th, 2010 | Author: Ken |
MJQ
Modern Jazz Quartet ジョン・ルイス(p)、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)、…..いまはもう誰も
いない。当時ファンキー、アーシー、ソウル、ハードバップ全盛期に、まるでクラシックの弦楽四重奏のような繊細でクリスタルの
響きを聞かせてくれた。ベルサイユ、フォンテッサ、コンコルド、黄昏のヴェニスなど題名までヨーロッパそのものだし、集合即興
演奏などバロックとジャズの融合だった。優雅で、デリケートな叙情があり、まさにフーガの技法である。華やかで新鮮で美しいメ
ロディー。知的な大人のジャズであった。CONCORDにおける「朝日のごとくさわやかに」…M・ジャクソンのヴィブラフォーンが
何とも素敵なイントロを奏でるのだが、最初は知らなかった。後にバッハの「音楽の捧げもの」を聞いていたら、アレッ、これって
No.3のカノンじゃないか!MJQが何ともお洒落に取り入れていたもんだ!と。(1747年、老バッハがフリードリヒ大王の宮廷を訪ね
た際、ハ短調テーマを大王より与えられた。バッハはその場で即興演奏を行ったが、後に作品に仕上げ献呈した。それが音楽の捧げ
ものである)。…..MJQ初来日当時は、アート・ブレイキーの熱く激しいファンキーさに酔っていた。特にM・ジャクソンはハード
バッパーとの競演が多かったし「プレンティ・プレンティ・ソウル」というブルージーなレコードもあった。ところがMJQでは押さ
えた演奏で、かえって際立つのだ。確かにバロックとジャズはポリフォニー音楽だし、即興演奏なども似ている。…それからダブル・
シックス・オブ・パリス(6人編成のスキャットによる合唱、後にスィングル・シンガーズ)、ジャック・ルーシェも盛んにバロック
ジャズを演っていた。…..バッハ「音楽の捧げもの」トリオ・ソナタ、一晩中でも聞いていたい音楽だ。大王のテーマがフルートで現
れるところなんて……。MJQ、メンバーはみんな逝った。だが、その音はいまも耳に残っている。