3/ 4th, 2017 | Author: Ken |
MJQとBACH
Modern Jazz Quartet
ヰタ・ムジクアリス:バッハとジャズ。Modern Jazz Quartet ジョン・ルイス(p)、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)、…..いまはもう誰もいない。50~60年代当時ファンキー、アーシー、ソウル、ハードバップ全盛期に、まるでクラシックの弦楽四重奏のような繊細でクリスタルの響きを聞かせてくれた。ベルサイユ、フォンテッサ、コンコルド、黄昏のヴェニスなど題名までヨーロッパそのものだし、集合即興演奏などバロックとジャズの融合だった。優雅で、デリケートな叙情があり、まさに「風雅の技法」である。華やかで新鮮で美しいメロディー。知的な大人のジャズであった。CONCORDにおける「朝日のごとくさわやかに」…M・ジャクソンのヴィブラフォーンが何とも素敵なイントロを奏でるのだが、最初は知らなかった。後にバッハの「音楽の捧げもの」を聞いていたら、アレッ、これって2つのヴァイオリンによる同度のカノンじゃないか!MJQが何ともお洒落に取り入れていたもんだ!と。(1747年、老バッハがフリードリヒ大王の宮廷を訪ねた際、ハ短調テーマを大王より与えられた。バッハはその場で即興演奏を行ったが、後に作品に仕上げ献呈した。それが音楽の捧げものである)。…..MJQ初来日当時は、アート・ブレイキーの熱く激しいファンキーさに酔っていた。特にM・ジャクソンはハードバッパーとの競演が多かったし「プレンティ・プレンティ・ソウル」というブルージーなレコードもあった。ところがMJQでは押さえた演奏で、かえって際立つのだ。確かにバロックとジャズはポリフォニー音楽だし、即興演奏なども似ている。…それからダブル・シックス・オブ・パリス(6人編成のスキャットによる合唱、後にスィングル・シンガーズ)、ジャック・ルーシェも盛んにバロックジャズを演っていた。…..バッハ「音楽の捧げもの」トリオ・ソナタ、一晩中でも漂っていたい音楽だ。大王のテーマがフルートで現れるところなんて……。MJQ、メンバーはみんな逝った。だが、その音はいまも耳に残っている。