8/ 28th, 2010 | Author: Ken |
WE INSIST! 我々は主張する!….此の1枚。
60年代の前半だった。パックス・アメリカーナに陰りが見え始め、ケネディ暗殺、ヴェトナム戦争、公民権運動….そしてモダンジャズが最高にクールな時代だった。「WE INSIST!」我々は主張する。
http://www.youtube.com/watch?v=Un9EOjbUWVA&feature=related
マックス・ローチのLPを手に取った時、その写真に一触即発のヒリヒリするようなスリリングな空気を感じた。振り返る黒人たちの向こうにボウタイをつけたバーテンダーの冷たい視線がある。マックス・ローチは黒人運動の闘士であった。それだけにLPの中身が濃く壮絶なのだ。時代は冷戦の真只中、アフリカに次々と植民地から民族独立のイデオロギーが芽生え内戦が多発した。その黒人たちの自由への世界がテーマなのだが、とにかくにも音楽の過激性に驚愕したのだ。
… 今から思えば若いということは暴力的過激さを好む。ゲバルトという言葉が現れる少し前だったか。
そして「WE INSIST!」を引っ提げてマックス・ローチが来日したのだ。コンサートでは圧倒された。アビ・リンカーンが質素な(ブルーシャンブレーだったと思う)ドレスで歌う。悲鳴、絶叫、凄まじい叫喚にローチの爆発するドラミング。レコードとライブとはこんなにも違うものか!打ちのめされた。 http://www.youtube.com/watch?v=85M7LTbCl-0&feature=related
この「祈り」「抵抗」「安寧」のドラマをYOU TUBEでぜひ見て欲しい。ショッキングで限りなく静謐で美しい。マックス・ローチはバップを作った巨人の一人だ。ブラウニーやロリンズとの素晴らしいとしか言いようの無い名盤が数多くある。知的で正確無比のドラミング、リズム楽器が歌うのだ。あのクールな彼が、ローチが…..。熱い日々、熱いジャズ、音楽に主張があった熱い時代。高校生のぼくには刺激が強過ぎた。当然として益々ジャズにのめり込んでいった。そして4大ドラマー世紀の対決、ドラム合戦にもローチが来たのだ。これは別の機会に。
”We Insist!” Tears For Johannesberg / Driverman Triptych / All Africa / Freedom Day
Max Roach (ds) Booker Little (tp) Coleman Hawkins (ts) Abbey Lincoln (vo) Michael Olatunji (conga) other 1960